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Scrap Blend 2杯目 ACT1
すっかりアップした気になってましたごめんなさい(
HPの改装中に気付いたというね。 というわけでこんばんわ、Scrap Blend第2章です。 既存作品ではこの章の途中で止まってしまっていたんですが、ちょいちょい書き足してます。 では、どうぞ。 ====== とある駅の地下道を、一人の男が歩いていた。 銀色と見違えるような薄い紫の髪を肩まで伸ばした彼は、顔立ちはどこか女性のようにも見える。頭につけた桃色のヘッドホンから、同色のコードが黒い無地のワイシャツの胸ポケットの中へと伸びていた。 冷たい風が通り抜ける駅の地下道。動く姿は彼を入れて3つのみ。 「……?」 そのうちの二つ、どちらも男の影が、人目を避けるようにこそこそと上へと上がっていく。 ヘッドホンをはずし、彼は耳を澄ませる――― ――自分が何か、わからずに、 ――答えを探して、彷徨って。 ――鏡に映った、自分に向って、 ――答えをくれよと、泣き叫ぶ。 Scrap Blend 二杯目 大樹の上の孤城 -Vampic Castle Saga- Act1 5階建てほどのビルとビルの間の、狭い路地の中ごろ。 一人の男と向かい合う形で、三人の男が立っていた。 三人のうちの一人が、スーツケースを差し出す。 「じゃあ、金を貰おうか」 「……すまんが、金は無いんだよ。鉛弾じゃだめか?」 ケースを受け取り、まるっきり三流役者の台詞を吐いて、三人の男のうちの二人――地下道に居たの男の片方が銃を取り出す。 もう片方は銃を向けられた方の男だ。 しかし彼はむしろ、勝ち誇った様な笑みを浮かべた。 「そナことしたラ、あナた会社の信用ナくナルますよ? しかも今は周りにボディーガードが――」 「それは、そこで倒れてる木偶どもか?」 片言の日本語で綴られた言葉を遮って、銃を構えていない方の男が言う。 その言葉に周囲を見回し、現実を目の当たりにし―― 「逃げようとしても無駄だぞ」 サイレンサーをつけた、独特の銃声。 逃げようとする男の足に、容赦なく銃弾が打ち込まれた。 「まぁ……地獄でまた会――」 悪役が言いかけたとき。 べちゃ。 ガムが、降ってきた。 「……は?」 「はいはい、そこまでー」 思わず上を見上げる。二つのビルの屋上から見える狭い空に、突然黒い影が飛び出てきた。 隣のビルの屋上――5階建てくらいだろうか?――から飛び降り、見事に着地したのは、銀髪の女だった。 『なっ…!?』 驚愕の声を上げる3人を無視し、銀髪女はくるりと回れ右をする。 「わりーけどオッちゃん、話は聞かせてもらった」 「へ?」 「逃げるぞ!」 「あ……ああ」 事態が飲み込めてない様子だが、その言葉を聞いて銀髪女――否、銀髪男は男を抱え上げた。 「な……何だお前は!? そいつをどこに連れて行く気だ!?」 正気に戻ったらしく、2人組の一人が喚きながら追ってくる。 「通りすがりの、」 その声に抱え上げまま振り返り、銀髪男が言った。 「――正義の探偵だ」 φ 「ふぁ……」 読んでいた本を閉じ、凌次が大きな欠伸をした。 身長は平均的だが細身で、縦長に見える。濃い茶色の短くはない髪が天然で外向きに跳ねている。 愛用の細渕のメガネを外して目元を揉んで、再びかけ直す。 何処かの国の、何処かの街の、何処かの路地の、小さな喫茶店『SCRAP』。 今日の客入りは中の下――むしろ下の上といったところか。どちらにせよ結局、暇な事には変わりはないが。 「ねむい……ってこら鏡弥、寝るな寝るな。お客さんが来たらどうする」 「……どうせもう昼すぎてっからこねーよ……」 テーブルに突っ伏して今にも寝ようとしているのは、ウェイター姿の鏡弥だ。 背中まである、艶のある黒い髪を赤い紐で無造作に縛っている。あいにくと、今は彼の高い鼻と釣り目は今はテーブルと向かい合ってみることはできないが。 「表、掃除してきまーす」 「はーい」 唯一元気なのは、黒いショートカットの小柄な女性――唯那だった。 凌次の返事を聞きながら、ドアのベルが澄んだ音を立て―― 「きゃっ!?」 開いたドアから唯那が跳びすさる。それを追うように、 「白!」 サラリーマンを抱えた、銀髪の変態が飛び込んできて唯那のスカートをまくって逃げた。 「ちょい、ごめんよっ!」 「どぁっ!?」 鏡弥ごと机と椅子を蹴倒し、変態男がカウンターを飛び越え凌次の足元に潜り込む。 「ちょっ……」 凌次が文句を言いかけた所で、どたばたと別の足音が聞こえてきた。 「……なるほど」 呟き、タバコをくわえてライターを取り出す。程なくして、2人の男が駆け込んできた。 「すまないが、ここにサラリーマンを抱えた銀髪の変態が飛び込んでこなかったか?」 「すごいな、俺の思った通りの的確な表現」 「え?」 「ああいや、こちらの話。その男ならさっき勝手に人の店に飛び込んできて……」 よほど『ウェイトレスのスカート捲ってここに潜り込みました』と言ってやろうかと思ったが、よく考えればそんなことをしたら後から殴れない。とりあえず…… 「……あちらに」 「……何だ、今の間は?まさか、匿っているんじゃないだろうな?」 「まさか。そんなことしても何の得にもならないじゃないですか」 言いながら、煙草に火をつけるフリをして、ライターに内蔵のスイッチを押す。 スイッチに反応して店に響いたのは、奥の扉が勢いよく開く音。何かあったときのために色々と仕掛けがしてあったりするのだ。 「あっちか、追うぞ!」 気づけば、既に2人組は移動を始めていた。 男たちがドタバタとやかましく走って行ったあと。凌次が足元を覗き込む。 「で、変態さん、一体何が――」 「……あれ、凌次?」 「へ?」 名前を呼ばれ、改めてその顔を見つめる。 「………白兎(はくと)?」 凌次を見上げるその顔は、よく知ったものだった。 「やっぱそうだ!凌次だ!」 やおらガバッと起き上がり、カウンターの向こうの唯那に振り返る。 「……ってことはそっちは唯那ちゃん!?ひっさしぶりー!」 「なぁぁぁにが『ひっさしぶりー!』よこのナンパ男!」 「痛い!痛い!痛いよ唯那ちゃんっ!これってあれか、スキンシップ!?」 「勝手に言ってなさい!」 容赦なく椅子で殴られてなお喜ぶこの男は…… 名前は、稲葉野白兎(いなばの はくと)。軽さなら凌次の知っている中で五本の指どころかナンバーワンに輝く。 『飛行機事件』以来、離れ離れで連絡も取れなかったが、これでも凌次のいとこ。鏡弥や唯那とも付き合いが長い。 さらに、彼は『人間』と『兎』の合成人間である。 脚力、聴力はScrap Blendの3人よりも格段に優れている。 「てめぇこら!人のことすっとばしといて謝罪もなしか!」 ようやく起き上った鏡弥も、椅子を持って白兎に食って掛かる。 「おお鏡弥だ! 相変わらず荒いねー!」 椅子を得物にした乱闘の中でもなお、元気に挨拶を交わす白兎。 しばし乱戦が続き―― 「すっ……すみません……ちょっ……と静かに……」 『……あ』 足から血を流しているサラリーマン風の男の事を思い出したのは、コーヒーが出来た頃だった。 PR COMMENTSCOMMENT FORM TRACKBACKSTRACKBACK URL |
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